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病気と予防法

猫白血病ウイルス感染症

原因

猫白血病ウイルスは猫免疫不全ウイルスと共にレトロウイルス科に属するウイルスです。このウイルスに感染するとその20〜30%の猫に白血病やリンパ腫といった血液の腫瘍の発生がみられるためにこのような名前が付けられました。しかし、実際には血液腫瘍よりむしろ様々な猫の病気の原因になっていることの方が多いようです。

感染経路

母猫が感染している場合は胎盤や母乳を介して子猫に伝染することがあります。しかし、多くの子猫は流産や死産となり、無事生まれたとしても早期に死亡することが多いようです。ウイルスは感染している猫の唾液を介して伝染することが最も多く、なめ合ったり、同じ食器で飲食をすることにより経口感染します。しかしこの場合持続的に濃厚な接触がないと感染は成立しません。

一方咬み傷からウイルスが侵入した場合は、かなり高率に伝染すると考えられています。しかし感染しても発病せず、ウイルスが体内から消えてしまう場合もあります。この現象は年齢に関係しており、実験感染では6週齢以下の子猫では80%以上が持続感染となりますが、8〜12週齢では30〜50%、1歳以上では15%の猫だけが持続感染となったと報告されています。持続感染になれば生涯ウイルスを持ち続けることになります。

症状

ウイルスに初めて感染すると感染後2〜6週目に全身のリンパ節の腫れ、発熱がみられます。血液検査では白血球(好中球)減少、血小板減少、貧血などがみられます。一般にこの病期の症状が軽いか無症状の場合一過性の感染で終わり、症状が重度の場合持続感染になりやすいと言われています。持続感染によって引き起こされる疾患には、ウイルスが直接的に関与にして発症している疾患とウイルス感染が引き起こす免疫不全や免疫異常に関連して二次的に発症する疾患があります。

直接作用によるものには造血器腫瘍(リンパ腫、急性リンパ性および骨髄性白血病、骨髄異形成症候群)、再生不良性貧血、赤芽球癆、流産、脳神経疾患、猫汎白血球減少症(FPL)様疾患などがあります。二次的に発症するもののうち免疫異常に関連するものには免疫介在性溶血性貧血(IHA)などの免疫介在性疾患や糸球体腎炎などです。免疫不全に関連した疾患としてはヘモバルトネラ症、猫伝染性腹膜炎、トキソプラズマ症、クリプトコッカス症、口内炎、気道感染症、などが挙げられます。

猫伝染性腹膜炎の40%、ヘモバルトネラ症の50%〜70%、クリプトコッカス症の25%、流産/不妊の60〜70%は猫白血病ウイルスに感染していると報告されています。猫白血病ウイルスに感染して、発病した猫の性別は雄が全症例の60%〜70%を占め、不妊済みの雄および雌の発症率は未処置の猫に比べて明らかに低いことが知られています。予後は疾患により異なりますが、わたしたちが過去におこなった調査では発症後3ヵ月の生存率は60%、1年生存率は50%、2年生存率は35%、3年生存率は12%でありました。

検査法

感染しているかどうかは血液検査で簡単にわります。拾ってきた猫を飼い始める時や外に出てけんかをした時、猫白血病ウイルスのワクチンを接種する時は検査を受けましょう。けんかをした場合すぐに検査をしても感染の確認はできません。最大で3週間経てば確認が可能となります。もし1回目の検査で陽性であったとしても陰転する可能性があるので3〜4ヵ月後にもう一度検査をして、陽性であればその猫は一生陽性であるということになります。

治療と予防

急性感染期の場合インターフェロンを投与することにより持続感染になる確率を下げる可能性があります。しかし前にも述べたように年齢の高い猫では感染しても自然にウイルスを排除してしまう可能性があるため、この治療法がどこまで有効なのかは統計的に証明されていません。持続感染の猫に対しては根本的にウイルスを体からなくしてしまう治療法はありません。対症療法や免疫力を高めるような治療が行われます。猫白血病ウイルス感染症の予防は、ウイルスに感染させないことと、すでに感染している猫を発症させないようにすることです。

感染予防

100%完全な感染予防は感染猫に接触させないことです。すなわち全く外に出さないようにして飼育すれば感染の可能性は非常に少ないと考えられます。しかし万が一外に出てしまったり、外から猫が入り込んだりして猫白血病ウイルスに感染している猫に咬まれてしまう事も考えられます。ワクチン接種は猫白血病ウイルス感染を予防する有効な方法です。感染の防御率は80%〜90%で、副作用として線維肉腫の発生が危惧されていますがその発生率は1万〜2万分の1ともいわれており、他のワクチンでもその発生の危険はあるわけで猫白血病ウイルスワクチンだけが特に危険であるというわけではありません。

発症予防

発症を予防するには、猫の飼育環境や栄養管理とともにストレスからの回避が重要です。われわれは猫が外出して帰ってきた時点で発症しているケースをよく経験します。外でのストレスは特に雄猫では大きく、冬場の寒冷のストレスが加わるとさらにストレスは大きくなります。われわれの調査では避妊、去勢手術を受けている猫の猫白血病ウイルス感染症の発症率は手術を受けていない猫より有意に低いことが明らかになっています。これは手術を受けている猫の猫白血病ウイルス感染率が低いのか、感染率は変わらないが、発症率が低いのか、もしくはその両方の理由によるものなのかは不明ですが、避妊、去勢手術は猫白血病ウイルス感染症の予防に有効であると思われます。

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