予防医療について Preventive
動物たちの健康を守るためには、「予防する」「検診をする」ということがとても大切です。狂犬病予防など法律で定められているものはもちろん、ワクチン接種によって危険な伝染病から守ってあげることができます。感染ルートになりやすいノミやダニがつかないように予防することも大切です。
また、年齢に応じた検査項目を取り入れた検診は、病気の早期発見に重要な役割を果たします。
犬の病気予防
狂犬病
感染した動物(イヌ、ネコ、キツネ、アライグマ、イタチなど)に咬まれることにより感染します。感染したウイルスは中枢神経に向かい、最終的には脊髄や脳に達し神経症状を起こします。初期の症状は、行動の異常や食欲不振がみられる程度ですが、次第に凶暴化や麻痺状態となり、ついには衰弱して死亡します。犬も人も発症後は治療法がなく(死亡率ほぼ100%)、犬が感染した場合は安楽死をさせます。
予防方法 | 注射 ※狂犬病予防法により一年に一度の接種が義務付けられている。 |
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病気について | 狂犬病ウィルスが原因で、人間にも感染する恐ろしい伝染病。 日本ではここ30年以上発生していませんが他国ではいまだに野生動物に発生しているので要注意。 ウィルスは感染動物にかまれると神経に入り込んで移ります。 |
ウイルス感染症
予防方法 | 注射 基本的に1年に一度の接種 子犬の場合は生後90日になるまで3週間間隔で接種 成犬ではじめて摂取する場合は3週間間隔で2回接種 |
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予防効果 | 100%ではないが伝染病にかかってしまったとしても接種していない状態と比べるとはるかに軽くすみます。 |
予防できる伝染病
犬パルボウィルス感染症 | 激しい嘔吐、下痢を起こし、食欲がなくなり、急激に衰弱します。重症になると脱水症状が進み、短時間で死亡することもあります。死亡率の高い病気です。種 |
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犬ジステンバー | 高熱、目ヤニ、鼻水が出て、元気や食欲もなくなり、嘔吐や下痢もします。また、病気が進むと神経系がおかされ、麻痺などの後遺症が残る場合があります。死亡率の高い病気です。 |
犬伝染性肝炎 | 発熱、腹痛、嘔吐、下痢が見られ、目が白く濁ることもあります。生後1年未満の子犬が感染すると、まったく症状を示すことなく突然死することがあります。 |
犬アデノウィルス2型感染症 | 発熱、食欲不振、くしゃみ、鼻水のほか、短く乾いたせきが見られ、肺炎を起こすこともあります。他のウィルスとの混合感染により症状が重くなり、死亡率が高くなる呼吸器病です。 |
犬パラインフルエンザウィルス感染症 | 風邪症状が見られ、混合感染や二次感染が起こると重症になり、死亡することもあります。伝染性が非常に強い病気です。 |
犬コロナウイルス感染症 | 嘔吐や下痢を起こします。他のウイルスと混合感染すると症状が重篤になります。 |
犬レプトスピラ感染症 | レプトスピラには、カニコーラ、イクテロヘモラージ、ヘブドマディス、コペンハーゲニーなどがあります。嘔吐、下痢、黄疸、多飲多尿など消化器疾患、肝疾患、腎疾患に関連する多くの症状がみられます。人にも感染する恐ろしい病気です。 |
一口にワクチンと言っても様々な会社が様々な薬を作っています。
そしてどんな素晴らしい注射も犬の健康状態のいい時期に接種しなければ意味がありません。
そのため、
- 良い会社
- 良いワクチン
- 良い保存状態
- 犬の健康状態
以上の4点に気を配り接種します。
せっかく接種したのに免疫がつかなかったということの無いように当院では以下の項目にまで注意を払い接種します。
身体検査のチェック項目ワクチンは伝染病予防のためのものですが、詳細のチェックを行いますので特に成犬にとっては一年に一度の健康診断のつもりでご来院ください。
フィラリア
蚊に刺されることでソーメンのような虫(フィラリア)が心臓や肺にいく血管(肺動脈)に寄生します。症状としては咳、疲れやすくなる、痩せる、腹水が溜まるなどがみられます。進行すると治療が困難で死亡率の高い危険な病気です。犬の病気ですが、稀に猫にも感染します。
予防方法 | 内服薬ひと月に一度の投与(5月から12月まで)お好みで錠剤タイプ、チュアブルタイプ。年に1度の注射でのノミ・マダニの予防もあります。 |
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予防効果 | 正しい投薬で100%予防可能 |
副作用 | 既にフィラリアに感染していて血液中にミクロフィラリア(フィラリアの子虫)がいる犬に予防薬を投与すると副作用が出る場合があります。 副作用は元気や食欲がなくなったり、場合によっては死亡にいたってしまう怖い程度のものまで、さまざまです。 ですから、安全のためには予防薬をお渡しする前に血液検査でミクロフィラリアの確認を行う必要があります。%予防可能 |
内部寄生虫
回虫 | 体調10cm前後で先端のとがったひものような白い虫。 便検査を行い、主に内服薬で駆虫します。 便検査を行い寄生がわかったらすぐ駆虫をしてください。 |
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条虫 | いくつもの体節が集まって出来た平たいひも状の虫 体長が50cm以上になります。 便の中に1cm弱の体節が一個一個ちぎれて出てきます。 この体節は乾燥すると白い米粒のようになって床に落ちたりします。 ノミが介在するため、ノミの駆除が大切です。 |
犬鉤虫 | 鉤のような歯を持っている虫で長の粘膜にかみついて寄生するため激しい症状が出ます。内服薬で駆虫します。 口や皮膚から感染するため散歩中などに別の犬から感染することもありますので完全な予防は困難です。 万が一感染したらすぐに駆虫を行い、後は犬の寝床などを清潔に保つと良いでしょう。 |
トキソプラズマ | 小さな虫なので顕微鏡で見ないと見えません。本来は猫に寄生しますがその他ほとんどの動物に寄生します。生肉を食べさせないこと、猫の便はすぐに処理することが最大の予防です。 |
フィラリア | フィラリア予防の項目を参照してください。 |
猫の病気予防
感染症
猫カリシウイルス感染症
予防方法 | 予防注射(3~7種混合ワクチン) |
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症状 | くしゃみ・鼻水・発熱 口腔内に潰瘍、水泡ができるのが特徴。 子猫の場合は他の病気との合併症により症状が悪化し死亡することもあります。 |
猫ウイルス性鼻気管炎
予防方法 | 予防注射(3~7種混合ワクチン) |
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症状 | くしゃみ・鼻水・発熱 角膜炎や結膜炎が見られ、重症になると死亡することもあります。 空気中の微粒子、食器、寝具などから簡単に感染します。 |
猫汎白血球減少症
予防方法 | 予防注射(3~7種混合ワクチン) |
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症状 | 食欲、元気の低下下痢、嘔吐 死亡率の高い病気です。 経過が早く、治療が困難なためワクチンによる予防が有効です。 |
猫白血病ウイルス
予防方法 | 予防注射(5~7種混合ワクチン) |
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症状 | 抗体検査の上、陰性なら接種できます。 免疫不全による様々な感染症。悪性の貧血、白血病、リンパ腫、流産など感染猫との喧嘩などの噛み傷、グルーミング、食器などの共用でうつります。 |
猫免疫不全ウイルス
予防方法 | ワクチンはありません。 |
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症状 | 免疫不全による様々な感染症 感染猫との喧嘩などの噛み傷でうつります。予防注射がないため屋内飼育を小さい頃から習慣付けておくことが最大の予防となります。 |
一口にワクチンと言っても様々な会社が様々な薬を作っています。
そしてどんな素晴らしい注射薬も猫の健康状態のいい時期に接種しなければ意味がありません。
そのため、
- 良い会社
- 良いワクチン
- 良い保存状態
- 猫の健康状態
以上の4点に気を配り接種します。
せっかく接種するのだからしっかり免疫力をつけてあげたいのは私たち病院スタッフも飼い主さんも同じ思いです。当院では、チェックリストにそって接種前に身体検査をおこないます。
身体検査のチェック項目内部寄生虫
回虫 | 条虫 | 猫鈎虫 | |
予防法 | 内服薬で駆虫 | 内服薬又は注射で駆虫 | 内服薬で駆虫 |
予防効果 | 寝床の敷物などの熱湯消毒 | ノミが媒介するためのみの駆虫も大事 | 感染経路が口、皮膚、胎盤と様々なためこれといった予防が無い。具合が悪くなったら早めに治療をお勧めします。 |
外部寄生虫(ノミ・ダニ)
ネコノミは猫だけでなく犬や人にも寄生し、被害を及ぼします。ノミに咬まれると赤い発疹ができて、強い痒みが出ます。また別の寄生虫(瓜実条虫)を運んできます。ダニは草むらに潜んでいて、屋外に出る犬猫に感染します。猫はグルーミングをするため犬と比べて多くありません。大量に寄生すると貧血になることもあり、また別の寄生虫(バベシアなど)を運んでくるので注意が必要です。
またノミ・ダニはアレルギーの原因でもあり、そのため寄生するとアトピー様の症状を示すこともあります。どちらも月に一回の投薬で寄生を予防することが可能です。疥癬は犬、猫だけでなく人にも感染し、全身に強い痒みが出ます。アトピー性皮膚炎によく似た皮膚症状がみられ、耳先にも病変がみられるのが特徴です。最近はタヌキからの感染がよくみられています。
スポットタイプ | スプレー | 錠剤 | |
予防方法 | 首筋に少量の液体をたらす | 体全体に液体をつける | 定期的に錠剤を投与 |
猫の特長 | 扱いが難しい性格の猫に | 一軒の家庭で複数の犬や猫を飼っている場合 | 体に異物をつけるのを嫌がる猫 |