漫画の主人公に憧れて獣医を目指す
私はもともと医療関係の家族がいたわけでもなく、進学校に通いながら将来の夢を模索していたのですが、中学生の頃に「動物のお医者さん」という漫画に出会い、たわいないのですがその主人公に憧れて自分も獣医師になりたいと思うようになりました。
実家がマンションだったのでペットを飼うことはできなかったのですが、幼いころから動物が好きで知り合いや親戚の家に行っては犬の散歩をさせてもらっていました。
その後は獣医学部に進み、大学では病理を選択しました。内科や外科の研究や臨床は否が応でもいつかやるだろうと思っていたので、学生の間しかできないようなことを勉強したいと思い病理学研究室に入りました。大学時代の勉強は楽しかったですし、病理の研究は今も役立っています。
必要な検査は必要なだけする、それが自分の診療の軸
私の診療方針として、とにかく検査を大事にしています。患者様からは良くも悪くも検査が多い先生だと思われているかもしれません。
検査に対して良い印象を抱いていない方にとっては抵抗があると思います。反対に検査に対して理解をいただける飼い主様にとっては、しっかり検査をしてくれている、診断をつけてくれる、と信頼をいただいていると思っています。
「的確な検査なくして正しい診断は無し。正しい診断なくして的確な治療無し。」検査は治療するにあたって最重要なものです。
山陽動物医療センターに入社した当初は飼い主さん一人ひとりに対して、診療方針や検査を調節していくような診療をする方が良いと考えていました。でもそれでは自分の大事にしている軸がブレてしまうなと気付きました。
今の自分の考えのままブレずに診断をして、それに対して信頼してついて来てくださる患者様としっかり向き合って、動物医療を進めていきたい。この考え方は今後も変えることはないと思います。
後輩指導は今後の課題
後輩の教育に関しては正直にいうとあまり得意ではありません。
前に勤務をしていた病院は規模も小さく、その分忙しい職場だったのであまり手取り足取り教わった経験がないです。教わるよりも自分で見て覚えて、といった方針だったので実践で覚えて気付いたら出来るようになったという感覚です。
後輩指導については自分の課題だとも思っていて、今後育成していって良い獣医師になって欲しいという気持ちはもちろんありますし、自分が上を見て育ってきたのと同じように、もしくは自分以上に成長してくれるのをとても楽しみしています。
人間と同じ様にペットにも備えを
動物医療は高額で大変だと思われている方が多いと思います。昔は番犬、猟犬のような飼い方でしたが現在は当たり前にペットという家族同然の存在になっています。健康で長生きしてもらうために必要な検査をするだけでもそれなりにお金がかかります。
飼い主様にはペット保険にぜひ入ってください、ということをお伝えしたいです。いつか病気になってしまった時に検査や手術がしたくてもお金がかかるからさせてあげられない、と後悔するくらいなら人間と同じように最初から健康保険に入っておいて、自分のペットに最善を尽くせるようにしてあげるのも愛情だと思っています。必要なものを必要なときにいつでも検査ができるように是非備えてもらいたいです。
レベルの高い検査や治療を提案できる獣医師でありたい
必要なものを必要なだけ検査する、飼い主様に最善を尽くしてもらう、ということが私の獣医師としての方針ですが、あとは自分自身がそれに見合うだけの獣医師になる、ということが私が獣医師になってからずっと大事にしている信念です。
家族であるワンちゃん猫ちゃんのために飼い主様に料金が高い検査を提案すること、必要なものを必要だと言うことも「必要」だと思っています。ただ、飼い主様が私自身に魅力を感じてくれていなければ話は聞いてもらえませんし、動物も必要な検査は受けられません。
自分の勉強にしても、診察室での対応にしても獣医師になってからの私の目標は「飼い主様にこの獣医師になら任せられる、さらにレベルの高い検査や治療を提案するに見合う獣医師でいたい」ということです。