父の姿がきっかけで獣医を目指す
私は父親が獣医で、実家の一部が病院という環境で育ちました。小さい頃から常に動物に囲まれて育ってきたので、動物は私にとって家族のように身近な存在でした。小さい動物たちを治療する父親の姿を見て、子どもながらに将来は「獣医さんになって動物を助けたい」という思いが芽生えました。
大学では生活習慣病やがん疾患の研究を行う生化学分野を専攻し、遺伝子解析や再生医療を用いた治療法など、幅広い知識と技術を学びました。
専門にこだわらず、全科をオールマイティに診療
大学を卒業してからは東京の動物病院で5年ほど勤務をしていました。その間に結婚・出産を経て、仕事復帰するタイミングで夫婦で岡山に来ることになりました。まだ下田動物病院だったころですが、父が当院で働いていたことがきっかけです。
当院での勤務は現在5年目ですが、自分の専門はこれという分野は特に決めていません。当院が得意としている循環器科の診療をはじめ、全科にわたってまんべんなく診察を行っています。
飼い主さんとのヒアリングを大事に
犬猫以外のうさぎやハムスター、鳥などの小型動物をエキゾチックアニマルと言いますが、エキゾチックアニマルの診療は得意としていて、当院でも診させてもらうことが多いです。
犬猫の場合は触診をして検査を重ねて治療する流れが一般的ですが、エキゾチックアニマルの場合は触診自体も負担になってしまうことが多くあります。来院した時点で病気がかなり進行している子が多いので、見極めが重要です。
犬猫とは異なった診察方法になるので、飼い主さんからのヒアリングや、治療内容の説明をしっかり行い理解していただくことが非常に大切になります。
飼い主さんと信頼関係を築きたい
飼い主さんがいつでも気軽に相談できるような、身近な頼れる獣医でありたいと思っています。ペットと飼い主さんにとって一番良い治療は何か、一緒に考えていきたいです。
本人は話すことができないので、何事も飼い主さんに意思決定してもらう事になります。病状の説明には時間をかけて、獣医学の難しいところを如何に分かりやすく伝えるか、ということを心がけています。十分な対話と説明で治療に関する選択肢をきちんと提示して、飼い主さんに理解して頂いた上で、選んでもらう事が大切だと考えています。
飼い主さんも自分自身の痛みではなく大切な家族の痛みとなれば、想像するしかなく心配でたまらないはずです。そんな飼い主さんにできる限り安心してもらえるように、信頼関係を築いていきたいです。
日常生活での直感を大切にしてほしい
自分で自覚症状を訴えることができない動物は、第三者の目から見てはっきり症状がわかる頃には、すでに病気が進行しているという可能性があります。
年に一度のワクチンだけでも欠かさず来てもらって、日頃の定期健診で小さな変化を捉えることができるかかりつけの獣医師がいれば、小さな症状から初期段階の病気を見つけることが可能です。
飼い主さんが「この子何か変だな」と感じたときは何か病気が潜んでいる可能性があるので、その直感を大事にしてほしいと思います。
獣医師としてずっと私が大事にしていることは、一般常識を持って、偏りのないオーソドックスな医療を行うことです。
先生によって診察スタイルは様々あると思いますが、私は突飛なことはせず普通であることを大事にしています。
すぐに相談できるという気軽さと、獣医としての専門性の両面を併せ持ったオーソドックス(ふつう)な診療を大切にしていきたいです。