獣医師になるまで、そして研究者としての臨床獣医師を目指して
獣医師を目指したのは小さい頃から動物が好きだったことが理由の一つですが、組織、会社の一員として働くのではなく、独立した仕事をすることを高校生の頃から考えていて、迷わずに獣医師の道を選んでいました。
大学を卒業した後は、岡山県と三重県の動物病院で研修獣医師として働きました。
先輩獣医師のもと動物診療の実践だけでなく、ご家族の気持ちを思いやることや社会人としてどうあるべきか基本的な、大切なことをたくさん教わりました。
当時参加させていただいていた研究会では、多くの獣医師とつながりを持つことができました。
また、そこで尊敬する先生にも出会い、臨床獣医師は研究者でもあるべきことを教わりました。今もその考えが私の仕事のスタンスになっています。
猫白血病ウイルス感染症との出会いが血液学の始まり
昭和57年岡山県赤磐郡山陽町で初めて自分の病院を持ちました。
最初は夫婦二人で始めた小さな動物病院で、その頃は、オールマイティーな獣医師を目指していました。
この地域は猫白血病ウイルスに感染している猫が非常に多い場所で、その猫ちゃんたちには血液疾患が多く見られました。
しかし、猫の血液疾患に関することを調べてもこれといった診断や治療の情報がない時代でした。
ところが人の医学雑誌にその答えがありました。そして必然的に人の血液学を勉強することとなりました。そのような中、大学病院の臨床検査技師の先生に血液や骨髄の見方を教えてもらえるようになりました。
目の前の血液疾患の猫を助けたい・・ご家族に喜んでもらいたい・・
そこに私の専門への始まりがあったように思います。
学会発表することにより全国の先生や大学の先生、アメリカで学んだという先生との繫がりができました。
多くの先生方と繫がりができるということは診断や治療の情報を共有でき、更に広く深く掘り下げることができることになります。
開業して10年たったころには血液疾患で通院の動物数が増え、専門治療を受けに遠方から来院する動物や他県の獣医師からのご相談も増えました。
血液学から学んだ検査の重要性
血液疾患には多くの疾患が含まれます。
それらを鑑別するには様々な検査が必要となってきます。
骨髄検査もそうですが検査をすることでいろいろな情報を得られます。自分の状態を言葉にして訴えることのできない動物だからこそ検査は非常に大事ということを改めて認識します。
「的確な検査なしで正確な診断なし」
「正確な診断なくして的確な治療なし」
「全ては的確な検査、正しい診断、的確な治療」
これが私の診療する上の理念になっています。
二次診療中心の総合病院を目指して
昔はすべての科を一人の獣医師が診察していました。
内科・外科・整形外科・循環器科・皮膚科・眼科・歯科・・・
ところが近年は各科のレベルが非常に上がってきていて、その高いレベルを一人の獣医師が診察することは難しくなってきています。
昭和57年の開業した時代とは全く違う時代がやってきています。動物のご家族の求めるレベルも高度化しています。
それにお応えすべく当院では一次診療を大切にしながらも、専門診療にも対応できるように努力しています。現在は、県内外から腫瘍や血液疾患の患者様紹介が非常に多く、専門性の高い獣医師の存在も当院の特徴となっています。さらに、外部から委託獣医師を定期的に招くことによりレベルの高い診察や手術を受けていただけるシステムをとっています。また、各分野に精通した先生をアドバイザーとしてお願いしています。
今後は循環器や神経病、眼科の分野においても専門診療を行っていく予定にしています。
私の周りには信頼できるスタッフや外部のサポートしてくれるアドバイザーがたくさんいます。みんなで力を合わせて、飼い主様が安心、満足できる獣医療を提供していきたいと考えています。